異常事態の進展
今年は梅の実の成りが殆どなく、梅仕事は昨年同様に中止となる。山形県産サクランボの不作も報じられている。初夏の味覚と言われるサクランボは、我が家のそれを観察すると、疾うに収穫終了して鳥の餌にもならなかったのである。小暑が過ぎた今は、ノウゼンカズラや桔梗、露草に夾竹桃、朝顔にハコネウツギなどを目にする。適期のように見えても確実に気候変動が進行しているのである。そして、世界情勢も人間社会も自然も狂気に満ちた異常事態が進展しているのである。
東京都知事選挙は予想通りの結果だった。騙されやすい450万以上の人々がいたという事実である。これは、既得権益と右翼的勢力と、あわよくばそれに組み込まれることを欲する人々がいたということである。ニセの「自由と民主主義」及び改憲を目論む多くの人々がいたということである。差別排外主義と核武装論者の知事を擁する神経が分からないが分かる。新自由主義者に票が集中するのも分からないが分かる。既得権益の野党の自堕落も分かる。人々の思いに寄り添っているのか、疑問である。裏金問題に発する自民党の腐敗などというものは、日本史の中では遙か昔からあったことであり、何を今更の感である。逆風は一過性であり、繰り返すだけである。無いのは労働者や被差別の人々と生活苦にある人々の要求に適う人士である。必要なのは、中央権力(東京一極集中)への断罪であり、地方からの反逆であり、小賢しい連中を追放する(学歴社会の廃止)ことである。東京も大阪も目糞鼻糞なのである。権威と尊厳が失墜し、科学主義(ITとBT化)が跋扈して、21世紀の世界は虚偽と詐欺が蔓延している。マルクス・ガブリエルは、現況の多くの脅威と危機が高度に複雑化したシステムを「入れ子上の危機」と呼んでいるが(信毎5月19日7面)、彼が問題視しているのはトランプなどによるポピュリズムの政治である。「自由と民主主義」を掲げれば解決するような問題ではないのである。必要なのは人間性の回復である。そして、その人間が地球と他の動植物などに対する責任を負っていることを知悉することなのである。それとも、P.レーヴィに見られるように、人類は自殺過程に突入しているのだろうか。
最近のコメント