最後のパラダイムシフト
この所、この本を丹念に読み込んでいる。自然に対して無理に負荷をかけない農業志向に添った農法である。アグロエコロジーは、慣行農法の裏返しの農法というか、農業である。それは同時に、「緑の革命」から脱却した農業である。類似したものに有機農業があるが、より現在の農業を根本的にパラダイムシフトする農業である。農業を生態学的に分析して、持続可能な農業を志向する実践的な社会運動として捉えられている。全世界のフードシステムを変換する農業である。
現在、我々の食べ物はほとんど工業製品である。紅麴のサプリや原料とした商品が社会問題となっていて、その原因や被害に関心が集中しているが、問題の根幹である農業的な問題は完全に忘れ去られている。グローバルに進化した「アグリビジネスが膨大な富を支配して農業生産のほとんどの物理的、財政的社会基盤を所有している」(p418)のである。食の主権は消費者であるかのように偽装されているが(近代経済学は諸問題を前に右往左往しているだけである)、主権が奪取されているばかりでなく、我々の良心さえも取り去られているのである。消費者は口にする食品の安さばかりに関心を奪われ、農業生産者を社会の最底辺層に落とし込めるイデオロギーに汚染されているのである。利益の高い加工食品やインスタント食品、ファーストフードやミシュラン(グルメ)ばかりに関心を奪われていないだろうか。いつかパルプが入ったカップラーメンに吐き気を覚えて、それ以来カップラーメンを飲食していない。
「世界の人口の半数が農業で生計を立てている」(p435)のだが、農業者に渡るのはその16%以下である。キャベツ一玉100円としたら、農業者の手取りは精々16円である。北米の食肉消費量は一人当たり年間約120㎏であるが、米を主食とする日本人の米消費量は一人当たり年間約60㎏である(食の欧米化)。また、「世界の全人口が日本人と同じ水準の生活をするためには地球が2.5個必要」(デジタル大辞泉、「エコロジカルフットプリント」の項)なのである。自民党の裏金問題はくだらない問題である。離党勧告ではなく、政界からだけでなく、人間社会からの追放が相当するのである。国会無視の武器輸出を閣議決定する政府も同様であり、イスラエル問題も同様なのである。
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