近代日本の科学技術への「総括」
さすがは元東大全共闘代表である。論旨明快である。資料を渉猟するだけでなく、安保・沖縄闘争や大学闘争において突き付けられたのであるが、放置されている諸問題についての言及もなされていて、大変な労作といえるのではないか。近代化した日本の150年を問うているのである。このことは、多くの人士によって認識され、論及が急増しているのである。例えば、ある高校の日本史の授業では、学習プリントが出題され、大テーマとして「日本の近代化はどのように行われたのか」が問われ、そのための視点として、「なぜ、日本は近代化に成功したのか。その過程で失ったもの、犠牲にされたものなど問題点は何か」と提示されている。また、「最近、『明治維新はまちがいだった』という本や、『家康江戸をつくる』という本が話題となっている。これはなぜか」と補足している。山本の岩波新書は、序文で要点がほぼ語り尽くされているが、重要なのはその論証である。日本語や日本の学者に特有な曖昧模糊とした論説が多い中、山本の記述は一等鮮明である。今年も春の叙勲が内閣府から発表されているが、スポーツ選手やら芸能人など、若いうちから勲章にイカれるようでは話にならない。思想信条が問われているのである。貰う方も貰う方であるが、山本にとっては、それらを遙かに凌駕する業績となるのは間違いがないだろう。本当の仕事とは、こういうものなのである。
今年の春は目まぐるしいほどの忙しさであり、ゆっくりと鑑賞したり、リラックスができないことである。街路樹や庭木では、もうハナミズキが満開を過ぎているのである。種蒔きを始め、農事を急がねばなるまい。
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