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2016年11月13日 (日)

何、この日本史小辞典

33486710 新版になったのだからと、『山川 日本史小辞典』改訂新版を大枚叩いて購入してみた(貧乏人が小遣いの内3000円以上出費することは、ある意味では、命がけなのである。泣)。何しろ、手元の『三省堂 日本史小辞典』第3版は、20年以上前から座右で使い古していたからである。ちょっと比較してみる。大杉栄の項目を拾ってみると、
 三省堂版では、『大杉栄 (1885~1923) 社会運動家・無政府主義者。陸軍軍人の子に生まれ、名古屋幼年学校に入学したが放校された。東京外語語学校卒。学生時代から社会主義運動に加わり、幸徳秋水の影響でしだいに無政府主義に接近、赤旗事件などで数回投獄された。荒畑寒村らとともに、大逆事件によって壊滅的打撃を受けた社会主義運動の再興に努力した。一方、米騒動(1918,大正7)を契機に高揚してきた労働運動に指導的役割を果たし、アナーキズム運動の指導者として、ボルシェビズムと激しく論争した(アナ-ボル論争)。23年関東大震災の際、伊藤野枝らとともに、甘粕憲兵大尉に殺害された。「自叙伝」ほか多数の著作がある。』とある。
 山川版では、『大杉栄 1885.1.17~1923.9.17) 大正期の無政府主義の社会運動家・思想家。香川県出身。陸軍幼年学校中退。東京外国語学校在学中に平民社に出入りし社会主義に傾倒、無政府主義者として大正初年からきびしい弾圧下に活発に活動。ボルシェビキに反対し、革命をめぐり堺利彦・山川均らボルシェビキ派とアナ・ボル論争を展開。関東大震災の混乱のなか、憲兵大尉甘粕正彦らに惨殺された。』とある。
 要するに、山川版の記述は少なく、社会主義に傾倒したのに無政府主義者に転換した理由が不明瞭ということもあるが、アナ・ボル論争の契機が全く明示されていないのである。また、その他の項目についても、客観を装いながら主観的な記述に終始しており、歴史的連関性が綴られていない。さらに、三省堂版の方が、簡にして要を得た内容であり、山川版は2倍以上の分量がありながら、冗長で文章に格調がない(社会主義者や無政府主義者への不信・敵意も散見される)。何とも後味の悪い辞典であると思わざるを得ない。どうしよう?
 

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