飛んで火に入る冬の虫
イスラム国邦人事件の結末は、大方の予想通りとなってしまった。第一に、日本は対テロ戦争に参戦したということである(これを参照)。少なくとも、イスラム国は日本を名指しで敵国と断定し、日本人を標的にするテロ宣言をしているのである。この要因は、1月の中東歴訪が原因であることは間違いない。今後、安保法制の構築に突き進むことが予想される。米英の帝国主義でさえ育成して手を焼いている事柄に、イスラム教徒の、日本に対する同情と好意を無為にしてまでテロ戦争に参戦することは、これまでの中東親善外交を根絶するものである。アベは、日本人の生命を守るのではなく、テロの標的として国際社会と日本社会に投げ出したのである。しかしながら、日本政府に具体策がある訳でもなく、米英とその他の友好国頼みしかないのである。むしろ、アメリカは日本が参戦することに仕向けているように思われるのである。第二に、中東諸国への2億ドル支援というバラ撒きをした上で、軍産複合体の幹部連中を引き連れてイスラエル訪問することは、イスラム国を刺激したことは間違いが無い。彼らがそう言っていることなのである。これを「人道支援」だとか言い訳をしても無駄である。カネに人道支援も軍事支援もないのである。これを鴨ネギというのである。アメリカとイスラエルの思惑通りである。多くの人は気付いていないことだが、中東諸国は、第二次大戦以降、負け続けているのである。中東戦争、パレスチナ問題、イラク戦争などである。だからといって、イスラム国の残虐行為を肯定する者ではないが、どれだけ多くのイスラム教徒が殺戮されているかは歴史の真実として知っておいてよい。戦争とは、究極、人殺しなのである。だからこそ、戦争の体験者達は戦争を忌避し、平和を唱えているのである。以上が、「積極的平和主義」の正体である。日本政府は、原発・兵器の「死の商人」に舵を切っているのである。アベコベニクスの成否は、原発(=核兵器)や軍事力と戦費の増大にしか途はなくなったのである。アベの自信のない無表情や、目を伏せて官僚や補佐官の文書を読み上げるしかない姿は、権力にしがみつく哀れな人間にも見える。彼らにとって神輿は軽いほどよいのであるが、国民にとっては堪ったものではないのである(いつ政権を投げ出すかだけが楽しみである。一度あったことは二度あるのである)。
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