(株)貧困小国日本
遅まきながら読んでみた。購入するまでもなく、図書館で予約の順番を待っていればよいと思って、約一年が経過してしまった。農業におけるGM種子による世界支配は、ちょっと農業の勉強をすれば常識である。実際、この本の導入と前半部は、アメリカ農業の市場主義経済による支配が凄まじいばかりのルポルタージュである。多国籍資本が人々だけでなく、国家をもまた食い物にしていくのである。国家が最終的には保証しているなどと安心しているのは楽観的と言わなければならない。アベ政権のやり口がクーデターであるように、経済のグローバル化を通じて、多国籍資本は人民と国家にそれを仕掛けているのである。その現実が、(株)貧困大国アメリカの姿なのである。何でも商品化し、搾取と収奪をしているのである。世界は一元的に支配されようとしているのである。そのような視点からすれば、アベもオバマも歴史の一齣に過ぎないと分かるというものである。だから、両者の公約は反故にされ、正反対の政策を実施しているのである。政治と企業の癒着という反動的なコーポラティズムは、世界を席巻して地球を破壊している。人々はこのことに憂慮するべきであり、これと断固として闘わなければならない。著者の推奨する「オキュパイ運動」は、権力に排除され、議会に99パーセントの代表を送ることが十全にできていないが、何の手立てもない庶民ができる反撃は、政府と企業を妄信しないという原則からどのようなこともできるのである。例えば、市場経済を標榜する企業の製品を購入しない、自由主義経済を公約する議員に投票しない、地産地消の農産物をできる限り消費して略奪型アグリビジネスの商品を排斥する、テレビや新聞情報を先ず疑いをかかって視聴する(できればテレビは基本的に見ない)、福祉の権利は申請によるので必ず行使する、御用学者・知識人の名前を記銘して信用しない(東大や慶大出身者が多い)、など様々なことができるが、次のような根本的立場を堅持しなければならないだろう。それは即ち、闘う方法において、①国民主権を掲げながら、②敵を間違えないこと、③浪費を抑え、人間に有益な生産物を生産者にとって適正価格で購入すること、④合法的手段に縛られないことである。彼らは、最初は金(資本)や法の力で、最後は権力・武力を持って闘いを制圧しようとするからである。TPP交渉妥結によって、現在の韓国のように、グローバル企業がどっと日本に侵入してくるだろう。日本の富国は一気に喪失だろう。大飯原発運転差し止め請求に対する福井地裁の判事は、「豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失である」と名判決を下したのである。
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