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2014年3月 1日 (土)

『大杉栄伝』その2

32697796 では、大杉栄の末期はどうであったか。凱旋帰国に出迎えた人々は700名にも登ったということである(p245)。異例の出迎えである。折りしも発生した関東大震災のドサクサ紛れに、朝鮮・中国人や労働者たちが謀殺されたように、大杉もまた当局によって虐殺されたのである。大逆事件では、幸徳らは形なりとも法的に処刑されているのだが、これは問答無用であった。集団リンチにより肋骨をほとんど折られ、瀕死の状態から絞殺され、全裸にされた挙句に、畳表でグルグル巻きにされて古井戸に投げ込まれたというのである。おまけに、吸殻を投げ込まれ瓦礫を詰め込まれて証拠隠滅を図られたということである(p257~258)。国家を否定し、無政府主義を掲げる者の無残な最期を遂げたのである。大杉は、「生の無償性」(=相互扶助+自我の力、p105)とその拡充を訴える。奴隷根性をあくまでも峻拒する(p107)。電車事件によってアナーキストに変身し、ストライキによる直接行動論をぶつ。1000万人にも及ぶ民衆暴動である米騒動を間近に見た大杉は、民衆芸術論に依拠しながら蜂起としてのストライキを夢見る。無政府主義の即時実現を求め(p215)、「あらゆる権威にたいする叛逆、本当の生の本能的生長」を表明し、社会革命の一戦士として名乗りをあげる(p45)。これはもう、国家権力にとっては容赦できることではなかったのである。関東大震災は治安維持法成立の契機ともなり、「帝国日本」は、社会運動家への世論の反感も加わって侵略戦争に突入していくのである。紛うことなく、日本人はこうした歴史を繰り返すであろう。否、より変質した形で全面的な破滅になるかもしれないのである。後顧してみれば、この本の副題に、「永遠の」という形容語句が付く、深遠な含蓄が窺い知れたものである。

 桃の研究も開始してみました。余談ですが、4月に実施される長野マラソンは、美しい北信濃の自然風景の中で催され、当然のごとく、花咲く桃畑の中をランニングするコースです。

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