在日コリアンの存在
図書館でヒョイと目に留まったので、嬉々として借り出した辞典である。劈頭から順次事項を読み込むのは骨が折れるが、これまた、知らないことも多く、加えて過去の在日コリアンとの出会いが想い出されて面白い。大阪市平野区に起居を始めたその頃のことが懐かしく想い出されるのである。山国生まれで育った田吾作には全くの異界に見えた在日コリアン社会が、目には斬新で、日々昂奮しながら生活していたものである。当時は全国的に指紋押捺拒否者が続出し、反外登法運動が盛んになった時期で、在日コリアンが多い猪飼野界隈や河内地方(主に東大阪・八尾)を隈なく徘徊していたものである。政治と生活が切り結んだ在日社会は、民族の息吹が感じられ、清新に目に映った。夕刻に近鉄鶴橋駅のホームに立つと、焼肉やキムチの匂いが立ち込めていて、食欲をそそったものである(だけでなく、鶴一などの焼肉店に何度も立ち寄ったものである。笑)。また、商店街の民族衣装にも清廉かつ華麗で目を奪われたものである。今から回顧すれば、よき想い出になっている。右傾化の日本人とは異なり、好奇心で魅了されたのである。右傾化する日本社会においては、在日コリアンにとっては生活や身の危険が及ぶことを認識できる日本人は少ないと思われる。現今の日本社会においては、共生社会とはいえない排外主義のナショナリズムが台頭している。既に2006年の第一次安倍内閣による教育基本法改正から始まり、東京や大阪の朝鮮学校への補助金廃止など民族差別は決してなくなっていない。というよりも、在特会や右翼が支持する安倍内閣が反動を極めている中で、それはむしろ、凶暴化していると断言してよい。右傾化とは何か。差別排外主義者どもが右翼であるのは分かりきったことであり、右傾化とはむしろ、左翼・リベラル、学者・知識人、宗教人の右傾化なのである。彼らは自分が右傾化しているとは思わないからである。日本人にそのことを反証するが在日コリアンの存在なのである。
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