校歌と農業人生
朝からヒヨドリの甲高い鳴き声がうるさい(苦笑)。けれども足音を止めて観察すると、ツグミやハクセキレイもいるようで。画像のメジロは、梅の木を凝視するのだが、まだよく確認できない。オナガはいないようだ。今朝は、昨夜の粉雪が止んで温かい日差しに鳥たちは大喜びである。しかし、どの鳥も痩せているように見える。鳥の世界も過酷な自然選択があるのである。
昨日の信濃毎日新聞文化欄・生活雑記に感銘を受けた。「校歌と農業人生」というタイトルで、内容は農民・小林吉彦さんの感慨である。校歌とは、北佐久農業高校のそれである。「故郷(ふるさと)」で著名な高野辰之の作詞である。浅間山と千曲川と八ヶ岳高原が歌詞の順番にシンボルとされており、それぞれが四字熟語で締めくくられている。曰く、「晴耕雨読」、「清澄進取」、「勤勉耐苦」である。農業とは、自然災害との闘いでもあるが、「連峰の勇姿を仰ぎ、身と心鍛え鍛えて、天候と大地を友に、頭をあげて」という末節のフレーズは、校歌によくある国粋主義とは無縁で、圧巻である。信州農民の気概と性向を現して余りある。故に、米作(反当り生産量と一等米が日本一)と果樹・花卉栽培の高品質に、その精魂が込められていると言えるだろう。思い入れや名声や富ではなく、実直な気風こそ信州農民のあるべき姿であることを示唆した高野の思いは、連綿と継承されてゆくであろう。また、このような校歌のある高校に学べる(学べた)人たちを羨ましくも思う。
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コメント
当方もこの投稿を拝読し、感銘を受けました。そして思い出したのが、下伊那農業高校の現在の校歌です(http://www.nagano-c.ed.jp/simonou/08douso/kouka.html)
校歌というのは、年齢を重ねるとともに、その意味がじわじわと心の中に広がってくるものと思いました。
投稿: 田中 | 2013年3月 2日 (土) 10時27分
遅くなりましたが、コメントありがとうございます。仄聞によれば、北佐久農業高校は、統廃合に直面しているらしいです。こんな立派な校歌と伝統校が無くなってしまうのは痛恨の極みです。善処してもらいたいです。あの長野駅の景観が、どこにでもある陳腐な県庁所在地の駅になってしまったことにも共通していますが、歴史を断絶することはいつの時代にも許されないことだと思います。
投稿: ぼけなす | 2013年3月27日 (水) 14時15分