人間関係の希薄化
「メンコに勝った男の子」の写真である。洟垂れ小僧であるが、写真を撮られることの羞恥心が上目遣いに現れている。活写の後、背後の子が泣き出したと解説にある。少し虚ろな目が勝ち誇った子を恨めしそうに眺める。カメラのシャッター音が悔し泣きを誘ったことだろう。今では見られない光景である。子どもは常に大人の隣りにいたが、今は少子化もあって閉じこもっている。親たちは生活を支えるために忙しく、モノを与えるだけで親子のコミュニケーションも少なくなっている。昔が良かったとは言えないが、この時代には、人間関係の希薄化もしくは崩壊が進行していたと思われる。豊かさを享受するためにはより働いて稼がなければならない。人間の欲望は際限のないものだが、例えば、スマホ(商品)がなければ欲求も派生しないことは確かである。しかし、資本は常に利潤を求めて商品を市場に投入する。そうしなければ恐慌と不況が見舞われるのである。マルクスはその事態を資本主義的蓄積の一般法則として定式化した。資本主義とは、資本が君臨する社会体制なのである(岩波経済学小辞典)。ソ連邦などの崩壊によって、資本主義はグローバル化しながら新自由主義という錦の御旗の下で放縦に振る舞っている。マルクス経済学は死んだのではなく、その基本的思想はいよいよ貫徹していると言わなくてはならないだろう。その流れの中でのアベ政権であるが、諮問会議を沢山作って「お友達」を参集させ、メディア対策を駆使しながら反動的な政策を練り上げていく。しかしながら、結局は厖大な財政赤字と経済の軍事化を促進するにすぎないだろう。これは確かに国民が選択したことなのである。
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