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2011年10月26日 (水)

ヤワじゃない自然?

32251888  「「上から目線」の生物保護では、人類は生き残れない」とある。「上から目線」のそれとは人類にとってご都合主義の生態系観のことであり、自然は人間からは常に偏見をもって見られている、と言えるだろう。換言すれば、「人間は本能的に(r-戦略者ではなく)K-戦略者が優先する、安定した生態系に安心感を抱く」(p120)のである。「生物多様性」というスローガンは無意識のそうした偏見に彩られていることに留意しなければならない。尤も、食物連鎖の最高位に治まる人間が、自らの危険が及ぶような他のK-戦略者を容赦するはずがないことではある。往日、息抜きの家族サービスで京都市動物園を訪れたことがある。巨大な白熊に息を飲み、金網の中で同じ所作を繰り返す迫力に圧倒された。こんな動物に襲われたら人間はひとたまりもない。しかし、人間には進化した頭脳があった。ために、希少動物になり動物園に飼育されたのである。その一方、丸くて小さい動物は身辺のペットとなって愛でられる。随分と人間は勝手なものである。人間の血を吸う蚊は疎んじられる。この私も、この世で蚊は最も嫌悪する動物である(笑)。この本の著者によれば、中程度の攪乱仮説が容認され(p73)、人類に利益を与えてくれる生態系保存が支持されている(p157)。しかしながら、そのこととタフな生物種(自然はそんなにヤワじゃない)という主張との連関が分からない。多分、バランスという言葉が多用されているので、根底には楽観論が支配されているのだろう。しかしながら、その楽観論は、自然そのものと科学技術の進歩史観と資本主義の内在的な破壊活動によって裏切られることになるだろう。

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