食糧安保論の蒙昧
暇さえあれば寝てばかりいます。身体もガタがきて肉体労働がきつい。仔猫の方が余程活動的なようで、餃子とミルクを与え、おなかが満足すると、遊びか排泄などのために徘徊します。雌猫なのでやや下半身デブになったようですが、食べ終わると腰をもっこり挙上するのは、猫そのものの特性なのか、この猫だけの個性なのだろうか。
中村靖彦という人のことについては何も知らない。奥付にある経歴程度である。タイトルからして食糧安保の話であることは想像に難くない。では、食糧安保(food security)とは何かと問えば、定義は分かるが、その内容は様々な問題や利害が錯綜していて、なかなか理解がし難いだけでなく、言及する政治家や農政官僚などの思惑があって幻惑されること、必定である。一番分かりやすく考えるためには、防衛問題と同列にすると分かりやすい。農水省の権益を守るために自給率向上を唱え、食糧安保が実は国益という観点からほとんど論じられているのである。この新書も同じである。特徴は、反中国の排外意識を煽る内容(p165など)や空想的な農地公有化論の展開(p66~)などに現れている。さすがNHK出身のジャーナリストである。しかしながら、民衆にとって国益などは何も関係がないと考えてしまえば簡単なことなのである。食糧輸入が途絶して困るのは、資本主義制貨幣経済に漬かっている都市であり、食糧危機の折には都市は滅亡するのである。いくらカネがあっても、海外から食糧を調達できないことも予想される。だから民衆はその備えをしなければならないし、東日本大震災と福島原発事故を経験したのだから、いい加減考えを改めた方が良いのではないか。「世の中で恐いものといえば、カネはあるが食糧のない隣人である」。
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