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2011年5月20日 (金)

「第二の敗戦」

32486285  自由貿易を推進する国際機関としてWTOがある。先進国と発展途上国(あるいは後進国)との利害の衝突を、先進国側から解決(利害を貫徹)する機関とも言えよう。その一環として、輸出立国としての日本は、当然の成り行きとしてTPP問題で、日本の農民や農業団体は鵜呑みを迫られている。TPPは実質関税自主権の放棄であり、農業を犠牲にして先進工業国としての経済成長を狙うものであり、太平洋領域におけるアメリカ主導の政治戦略である。韓国はFTA締結に積極的で、その戦略の軍門に下っている。TPP交渉役をまかされた前原誠司・前外相は、「日本のGDPにおける第一次産業の割合は、1、5%である。平均年齢は65、8歳である。1、5%を守るために98、5%が犠牲になっていいのか」と発言している。大手新聞の社説もその意向に添っている。「第三の開国」を謳う菅内閣もTPP推進であり、日本固有の経済的脆弱性ゆえ、参加は規定事項である。そして、福島原発の核爆発(メルトダウン)で被曝した日本は、早晩、「第二の敗戦」を経験するだろう(問題は3号機である)。この本の著者は、政府の「食と農林漁業の再生実現会議」有識者委員会の識者であり、同時にJAの主張に基本的軸足をおいているが、自由貿易主義の国際的潮流と「国益」という観点から、前者に押し切られるか、転向を迫られる可能性が大である。農業について概観するには、この本は入門的好著と言えるだが、いつまでも立場を鮮明にしなければ道筋も明らかにならないばかりか、解決の糸口も掴めないだろう。何しろ、相手(論敵)の狙いは明瞭だから。

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