アフリカ環境報告
先夜、近隣のスーパーで焼酎を買う序でに、魚売り場をチラッと見ると、好物のイナダ(ハマチ)一尾が397円で寝ていたので、(丁度給料後でした)つい衝動買いしました。刺身にして食した後、翌日は残りを煮て、丸一匹を消費させていただきました。久しぶりで美味しかったなあ。そして今日は、朝からグングン気温が上昇する酷暑で、水遣りをしてから、ひたすら蟄居して読書と惰眠を貪りました。
寝転びながら読了したのがこの本。サブタイトルがアフリカ環境報告とあるので、アフリカだけの問題かと思いきや、地球規模の話である。アフリカの環境悪化は、著者の思いのように、「地球の限界」の先取りもしくは予兆とも言えるのかも知れない。将来、ライオンやサイなどの動物はアフリカで眺めるのではなく、各地の動物園で鑑賞するものになるのかも知れない。アフリカの自然は豊かで美しい。しかし、環境は確実にしかも加速度的に劣化している。温暖化と沙漠化の進行は激しい。これに人為的に棹差している現実を明らかにしている。新書のタイトルは、そのことを象徴させていてピッタリと嵌っている。さらにアフリカは、原油やレアメタルなどの資源を、政治腐敗や内戦などに乗じられて世界中から収奪されている。「アフリカの今後のカギをにぎるのは、農業の再建と食糧の確保」(p174)であるが、土壌劣化・侵食・流失や伝統的な農業技術の衰退と担い手である農民の流失もあり、さらに主食穀物の生産ではなく、植民地時代に持ち込まれた商品作物の栽培と輸出に型枠されてしまった。一次産品は価格の暴落もあり、外国企業によって買い叩かれている。例えば、コーヒー1杯330円の内、栽培農家の取り分は1~3%の3~9円だという。また、紅茶の茶葉を丸一日手取りしても、たった500円にしかならない現実である(p180~181)。驚きである。他にも、これ程までにと痛苦するような内容がデータを詳解しながら論述されている。最後に著者は、「アフリカに〈何ができるか〉と問う前に〈何をすべきではないか〉を考えるべきだと思う。そのあとで、目下もっとも必要な援助がどうしたらもっとも必要とする人に届くか、を考えなければならない」(p219)と提起する。問題は善意や施しで解決されるものではなく、また、「あとがき」にもあるように、人類の帰趨を決する問題と言わねばならないだろう。アフリカの中に、環境や農業や宗教や人口などの、人類が直面するあらゆる問題が凝集しているのである。分かりやすい記述で、アフリカについて知るとば口として読んでおきたい。
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