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2010年6月21日 (月)

認知症は病気か?

32383310 この手の本を読み始めると、その専門的知識に感心はするが、どうにも疑念が渦巻いてくる。基本的な疑問は、認知症は病気なのか、それとも関係障害なのか、ということである。この問いは、同時に、介護の世界に留まらない問題があるのではないか。 まず、病気とするのならば、認知病と規定すればよいのであるが、そう考える人はいない。この本でも、「認知症は心の病気ではなく、脳の病気です」と断定している(p26)。一般的には、認知症の原因となっている病名を、アルツハイマー病(5割)、脳血管障害(3割)、レビー小体病(1割)、その他(1割)とされている。ここで、認知症を病気と断定する場合、都合、二つのメリットがある。一つは、医学的アプローチができることである。大体の指示は、薬物療法(アリセプト常用)と身体の運動と脳の活性化のための療法と介護者の理解を求めることである(著者の記述も同じである)。もう一つは、これによって家族介護者も得心することである。ここで、再び疑念が沸き起こる。一つは、そのことが認知症の人々を社会的に排除すること(社会的差別)にならないかということである。もう一つは、認知症になる人とならない人がいるが、ならない人(65歳以上の高齢者の9割)についてはどう説明するのかということである。また、認知症の原因としては、脳の病変だけではなく、環境変化や人間関係や身体的障害などをキッカケになる場合もあり、複雑錯綜している。単純に医学的原因に集約されるばかりでは、真の理解はできないと思うのが介護現場の実感であろう。他方、認知症を、「老いていく自分を認められず、自然な老化現象や障害による機能低下、人間関係の変化などをきっかけとして生じる『自分との関係障害』である」と捉える人もいる(三好春樹氏ら)。むしろ、長年続いた関係障害が脳の障害を生じさせていると指摘する人もいる。そういう事例や病気と関係障害との関係を詳細に論議されることが期待される時期なのではないか、と思う。認知症が脳の病気であるならば、その原因であるアルツハイマー病などもまた脳の病気であるという説明では、トートロジーではないのか。したがって、「誰にでも必ず出る症状(中核症状)が記憶障害と認知障害(の二つ)です」とする著者の件(くだり)には(p28~31)、引っかかりと矛盾を感じてしまう。

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