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2010年2月 2日 (火)

寝られない漬物

004215_2  人間の記憶というものは、やはりというべきか、自分に都合よく脳裏に記銘されるらしい。この本は、20歳台に読んだと勘違いしていたが、正確には1987年の出版ということだ。その頃普及され始めた、牛丼には紅しょうが(貧乏学生であったので山盛りにしたり、ごはんに混ぜ込んで食したものである)、ほか弁には桜漬が添えられてきたのである。紅しょうがや桜漬は、塩蔵したしょうがや大根を調味付けしただけの、手軽で安価な漬物である。だから、見た目の良さもあってコンビニ弁当にも申し訳なさそうに入っているのである。「日本人の色に敏感、香りに鈍感という性格」(p127)を諸に表している。温められた弁当の桜漬なんて食べられたものではない(笑)。これらはまさしく「新つけもの」である。「新つけもの」とは、1965年頃からの低塩化の流れで、1975年頃からの低塩化の加速でできた調味液中心の新しいつけもので、伝統的な漬物とは製法や味覚がやや異なる。著者によれば、漬物は保存食品から嗜好食品へと転じているというのである。しかしそれも、全漬連の統計よれば、2000年頃から、生産量も消費量も縮小傾向が顕著ということである。この理由は、主に食の欧米化と米離れが大きいだろう(『旅の手帖』2008年2月号参照)。一時期テレビCMなどで柴漬けが売れたり、キュウリの漬物が流行ったりしたが、近年は漬物の生産量の三分の一はキムチになって、伝統的な漬物は肩身の狭いものになっている。当地長野においては、漬物といえば、野沢菜漬と木曽すんきである。意外なのは、塩丸イカである。野沢菜漬は、本書で日本三大菜漬と称されているが、今回でも、劈頭で菜漬の章を割いている理由がよく分からない。著者の趣向なのか、伝統漬物の代表例と思案してか、分からない。そして、野沢菜漬は末尾の「漬物ベストテン」(p208)にも入っていない。いよいよ不明である。眠るのが大好きだが、当分寝られそうもない(笑)。これも参照。

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