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2010年2月 5日 (金)

パンドラの箱

32253286  アフリカ人の意見も傾聴しなければならない。という訳で、この本を読んでみました。ディアスポラ(διασπορά)とは、主として離散したユダヤ人について謂いではあるが、アフリカ人もまた15世紀以降の奴隷(三角)貿易によって世界中に離散している。今次のハイチ地震は、人々を益々混乱の局地に追い込んでいる。ハイチ共和国は、アフリカ以外で初の黒人による共和国である。この本を読むと、ヨーロッパ人は「パンドラの箱」を開けてしまったようにも思える。それは希望か絶望か分からない。コンゴ人神父であるムンシ・ヴァンジラ・ロジェ氏がアフリカ点描において寄稿(p60~80)している内容を精査してみた。タイトルは、「コンゴはどうして貧しいかー新植民地主義とアフリカの未来」となっている。先ず、「コンゴは豊かな国である。なのに、とても貧しい。つまりコンゴの富を誰かが奪っているのだ」(p61)という見立である。彼はその原因を「先進諸国による資源の争奪戦」(p64)と暗示している。モブツ政権を支援したアメリカ、新植民地主義による西欧の支配を論じている。新植民地主義とは、アフリカ人に多いものの考え方という、少数の指導者に多数派を周縁化させる方策である(p71)。だから、内戦も内乱もアフリカ人同士のものではなく、新植民地主義の戦争であるという。内乱と騒乱は支配のためには都合がいいのである。彼は、「もともとコンゴの人々は、この世の人生をとても尊重していて、人生をよく生きることを大切にしている。殺し合いなどもってのほか、みんながひとつになって生きる『輪』を重んじるという考え方が強くある」(p73)と述べている。このアフリカ社会のあり方は重要な特性で、忘れてはならないことである。その昔から、アフリカ人が戦乱に明け暮れたという歴史的事実はない。新植民地主義による支配によって、ミドルクラスが消失し、強権支配と依存体質の様相を呈している。彼は、アフリカ人が「自国のことを自国で考える方法(自主統治)を学ばなくてはならない」(p80)のであり、そのためにも教育が必要なのであると結論している。武器や恵み援助ではなく、具体的な教育援助なのである。農業も自立と自活のために役に立つだろう。人類の揺籃地であるアフリカについて考える時、このこともまた、肝要である。アフリカ問題とは、自分自身の問題でもあるのである。

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