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2009年12月22日 (火)

苦悩する大陸

32065814  「先進国の草刈り場」という表現がある。『ルポ資源大陸アフリカ』を著した(未読)白戸圭一という毎日新聞記者が使いそうな言葉である。貧困と飢餓、犯罪の巣窟、独裁者と圧制、民族紛争と無政府状態など、アフリカは負のイメージに塗り固められている(しばらく前の無知の頃は、野生動物の楽園というイメージ)。こうした負の連鎖の原因は何か。そこが知りたいところである。この『アフリカ苦悩する大陸』の著者であるロバート・ゲストの関心は、貧しい国々が豊かになるための方法にある。その観点からアフリカに迫っている。結論は明晰である。そのための論証が縷々とあるだけで、大概、西欧人の著書は分かりやすい。例に洩らさず、「日本語版へのまえがき」(と「結論」)を読めば事足りる。但し、反論や批判をするためには全文を読まなければならない。さて、彼の結論は、「アフリカが貧しいのは、政府に問題があるから」(p4)である。だから当然、アフリカの国々の為政者を批判する各章の構造になっている。これに先ず気付くべきである。しかしながら、こうしたアフリカの圧制者やリーダーたちには、逆に「レイシスト」と難詰され、贖罪と補償を求められる。堂々巡りの議論である。部外者であると強調する著者にある先進国の(白人の)視線もしくはフィルターにも注意しなければならない。この点でも著者は明快である。「世界の貧しい人々に必要なのは資本主義だ」(p82)という主張である。それもグローバル・スタンダードの資本主義である(p187~197)。先進国農業が補助金や関税によって保護されていることをくどくどと論述し、食糧安保論に反対して農業を衰退産業と断定している(p192)。こうした論調が誰を利するのかは明白である。無論、アフリカ各国の権力者の所業は許されないと思う。しかしながら、彼らは武器を占有している。それはどこから由来するのか。戦争と紛争の原因は何なのか。資源大陸としてのアフリカと帝国主義やBRICsなどとの利害関係はどうなっているのか。この本を読む限りにおいては、そうした疑問への回答はない。「(欧米諸国は)どの国もアフリカに戦略的利害を持たない」(p66)し、「世界の大国はもはや植民地を欲していない」(p67)とまで言い募っているが、この主張は正しいのだろうか。この点についてはいずれの日にか詳述したい。これも参照。

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