安心老後の準備
この本は、「自分自身の介護をどう(準備)するか」(p1)という問題意識から出発している。介護する側の本はごまんとある。しかし、されたり準備する側のものは寡少である(ありきたりの介護保険制度の解説本はあるが)。ましてや、約700万人とされる団塊世代が介護される側に立たされつつある中でも、である。人生を楽しんで、「ポックリと最期を迎えること」はないと肝に銘じておくべきである(p16)。元気で健康なセカンドライフは、そう遠くない時期に終わりを告げる。何らかのケガや発病・発症というイベントから、著者の定義するサードライフが始まる。その時、孤立した高齢者は苦渋の死を迎えることになるのである(p137)。また、その時に藁(行政)にも縋ってみても、失敗するケースが多い。なぜなら、彼らは介護保険制度の管理者(p209)だからである。そして、制度そのものも申請主義であって、申請しなければ何事も始まらないようになっているのである。とりあえず、公的機関を利用しなければならないが、それでも依存したり、過信したり、誤解したりしないようにしなければならない。そのために、サポーターデビューを提案し、意思書作成や私的サポーターが支援するあり方を勧めている。そのことについての詳しい言及が少ないのは残念であるが、ケース(事例。やや疑念のあるものもある)を含めて、分かりやすい警告書と思う。自分で準備しなければならないことも多いのである。
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