« 戦争体験手記を読んで | トップページ | 海水浴へ »

2009年7月27日 (月)

辛い原因

32248149_3  「高齢者介護の現場は、未来に光を見つけるのが難しい職場だ」(p136)と流布されている。高齢者という人相手の仕事であり、人の生命を与る仕事であり、近年需要が増している仕事であり、業界の未熟ということもあり、介護保険制度という国の社会保障ということもあり、問題山積の業界である。山口県・防府市の老人ホームの人的被害は、現代の姥捨て場である山手郊外に、災害対策もなされないまま建設されたことにも問題が隠蔽されているのではないか。この本は、こうした問題意識の中で、ヘルパー2級を取得して介護現場に潜入したルポである(p127)。先ず第一に、介護現場は凄まじく忙しい(p43)。ために大なり小なり職員はイライラ(我慢)している(利用者も。p88)。人手不足であり、離職率が高い。だから、職員の待遇改善が根本的な処方箋であることは言を待たないだろう(p251)。業界団体のこうした指摘に対して、厚労省は乗り出しているが、介護福祉士などの資格制限をして(専門性を高める)垣根を高めるやり方だけでは解決にはならない。田舎では、高齢者が多く、中高年の就職口として重宝され、レールから外れた都会の若者には、数少ない寄る辺なのである(p206)。根本的には、全体として介護は、<軽く見られてる>のである。社会全体として、死にゆく者を介助する役に立たない業界という潜在観念があり、そこで働く者の報酬もまた、低くて当然と思われているのである。したがって、そこで生きる老人も意味もないものと見做されているのである。これならば、長幼序のある家父長制社会の方がマシである。介護の社会化もしくは社会的介護という視点を忘れてはならないのである。国の制度・政策はこれを欠如していると言わなくてはならない(p176~177)。この業界の「希望のなさ」はこの辺にあるのである(p209)。更に、指摘したいのは、どの業界の宿根ともいうべき事柄である。専門性を高めるという企てが嵌る罠である。介護職の資格有権に眼を奪われて、業界の持っている社会的意味を狭隘にする利益団体のことである。社会では当り前であることを当り前とし(p251)、より積極的に介護の意義を流布する役割を演じる必要がある。介護の実技・実習やカリキュラムがいい加減であるばかりでなく(p195)、現場職が指揮権を振り回すあり方など問題外である。利用者を底辺とする階層が成立する施設(現代の監獄)が多々あるのである。「人の命を見送る仕事」(p137)と誇称しながら、虐待や介護放棄などのモラルハザードが惹起するのは、これが原因である(第五章参照)。「なぜ、新しい意見や改革が受け入れられないかといえば、直接的にはベテラン職員の存在、間接的には人手不足に、その原因があるのでは、と思う」(p217)とあるが、業界団体も加えるべきだろう。では具体的に、理想の介護とは何なのだろうか。これについては、次回ということで

|

« 戦争体験手記を読んで | トップページ | 海水浴へ »

介護・医療」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

突然のコメント失礼致します。
失礼ながら、相互リンクしていただきたくて、コメントさせていただきました。
http://sirube-note.com/care-worker/

もしよろしければ、こちらのページから相互リンク登録していただけましたら幸いです。
http://sirube-note.com/care-worker/link/register/
今後ともよろしくお願い致します。
q5uASoVP

投稿: sirube | 2009年7月27日 (月) 16時31分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/527456/30715353

この記事へのトラックバック一覧です: 辛い原因:

« 戦争体験手記を読んで | トップページ | 海水浴へ »