社会劣化の結末
総務省の労働力調査によれば、4月完全失業率は5%に上り、厚労省が発表した調査では、4月有効求人倍率は0.5倍(正社員は0.27倍)を下回った、ということだ。仕事がなく、正社員にもなれない。ために政府は、2月に雇用創出と称し、介護、農業、環境などの分野を提唱しているが、そんなことは信用できない。今までも裏切り続けたからだ。元々、「日本は、一日八時間労働を規定しているILO一号条約を批准していない」(p154)。労働基準法違反が常態化していて、長時間労働を野放しにしているのである。さらさら労働者のことなど保障する気がないのである。セイフティーネットや就業機会の保証などないに等しい。むしろ狙いは、年功序列と終身雇用制度の破壊なのである。これは財界の動向を見れば、一目瞭然である。経済のグローバル化は、雇用の柔軟(喪失)化とワーキングプアの創出に帰結する。インフルエンザ、北朝鮮、総選挙などの問題に目を奪われ、背後で社会の劣化が進行しているのではないか。例えば、農業分野では改悪農地法案が、国防分野では海賊対処法案が企図されている。コイズミ構造改悪の総仕上げ段階と見てよいだろう。自公政権の最後の悪あがきなのである。この本でも確認されているが、市場主義自由経済の思想の核にあるのは、無責任の体系である(p219~221)。無責任の輩が唱道し、施策を講じ、国民に自己責任を強要するばかりか、政党助成金(カネ)まで巻き上げているのである。まともな国民の神経では、税金や年金などを支払う気にはなれないのではないか。
寝ていても 取られる税の 悪い夢
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