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2008年11月

2008年11月27日 (木)

認知症介護のあり方

32064781  高口光子氏の著書を読んでいて感心するのは、認知症のお年寄りに(介護員が)してあげたいことという視点ではなく、「認知症のお年寄りが私たち(介護員)に伝えたいこと」(p4)という傾聴の原則を貫いている点である。これが介護の仕事を続けていると、慣れもあって馴れ合いになるか、してあげているという意識の逆転があったりで、介護の陥穽に嵌まったりする。だからこそ、この本に詰まっている事例やエピソードが「びっくり」なのである。介護の仕事は素人に向いている、と何処かで読んだことがあるが、介護の学校を卒業してきて、現場でそれなりの責任を受け持っている人が、意外に利用者に命令的に、あるいは指示的な口調で介護をしている例を目にすることが多い。ぼーっとしているお年寄りを見て、主体の崩壊を見ずに、病名を当てはめて納得したりする(p177)。素人が適しているのは、「介護の基本は我が身に置き換えること」(p64)だからであろう。認知症(ぼけ)介護は一般的に困難なものと認識されている。しかし、困難な事態は、言い換えれば、チャンスということでもある。問題行動として彼らは訴えているのであり、それを介護チャンスとして捉える必要があるだろう。この本は、介護者の基本原則を始めとして、認知症介護とはという問いに対する回答や人間論まで踏み込まれており、介護に従事する人とって有益である。

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2008年11月21日 (金)

老人介護の要諦

31850534  生活苦や障害や体力の衰えた人に、「あんまり長生きしたくはないわ」と嘆息されたら、どう返答したらいいのだろうか。何となく働いて生きている人もあろうし、特段そんなことを自問したこともない人は、いきなりこんな言辞を耳にしたら面食らうのではないだろうか。それとも、定額給付金を貰って使い終るまで生きてみたら、なんて冗談にも応えたらいいのだろうか(笑)。回答は、次回(もしくは次の機会)に披露してみたい。 

  ところで、この本の著者は、三好春樹氏と同じくPT(理学療法士)出身で、介護の世界ではカリスマ介護アドヴァイザー(士)として、夙に有名である。氏がPTから介護の世界に転身したのは、「病院は老人に向いていない」という理由からである。そして、介護についてのイメージを転換させながら、ある結論に達している。「やっぱり本当に一人ぼっちとなると、人は死んじゃうんです」と。内容については、氏のこのブログ記事が参考になるだろう。読んでいて、介護のプロとしての自負が感じ取れました。また、「施設に入るというのは(老人にとって)自己断念なんです」(p125)という一文は、「びっくり」でした。

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2008年11月13日 (木)

介護の非

20081113112242  小春日和の休日。干し柿作りに精を出しました。渋柿の皮を剥き続けていると、知り合いからメールが届きました。今月末から訪問介護として、ヘルパーの仕事に就くという。介護は5Kの仕事と云われている(と云っているのは俺だけか)。「きつい、汚い、臭い、給料が安い、(人間相手の)恐さ」の5Kである。全国では、およそ78万人の介護従事者がいると推計されているが、どこの施設や事業所も人材確保に躍起になっている。将来的には、要介護者が少なくとも約1.5倍になると予想されているにも拘らず、養成機関はどこも定員が満たず、過半数割れしている学校すら続出という状況である。厚生労働省は、今年から11月11日を介護の日と決めたが、どうか介護の非とならないように祈るばかりである。

31965059  という訳で、こんな本を開きました。またしても、噂の三好春樹さんの著書(これも参照)です。原本は十年前のものですが、内容は今もって新しい。「老い」とキチンと向き合い、その意味を現場から探っている。「実感こそが科学の根拠だ」(p148)という言葉は、近代医学や介護学に対する批判である。老人(の価値観や生活行為)に寄り添い、現場に依拠しながら批判的に専門知識を個別的に生かしていくこと、「新しい実践と価値観の転換」(p229)を模索していたのである。老人とは、彼にとってそういうものだったのである。介護の世界では、長く従事していると、どこの世界でもあることだが、慣れもあって対象が見えなくなる。まともな若者ほど転職し、役に立たない人間ほど長続きするという悪循環になりがちな職種である。メールをくれた彼女も、どうか初心を忘れず、老人の杖となる介護に邁進してほしいと願うばかりである。

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2008年11月 6日 (木)

『悩む力』

32064355  年来の横着者なので、休日は妻子がいないことを理由にして、読書したり布団に潜り込んだり、空腹を感じると飯を掻き込んだりパソコンをいじったりで、自堕落な生活を過している。肩や歯が痛いし、休むことに徹底している。老境に達しつつあるのか(苦笑)。これでも、後もう一仕事と念じて少しは努力しているんですよ(笑)。冷涼な空気が山々を色づかせている晩秋の快晴続きの中、ちょこっと外出のみです。

 『悩む力』を読んでみた。図書館で予約していたが、中々順番が回ってこないので、痺れを切らして書店で購入した本である。そんな気持ちを代弁してくれるかのような内容であった。これが理解できない人間は、おそらく悩まない人であろう。これからの老人力とは、社会を「撹乱する力」と捉え、まじめに「考えぬいて突きぬけろ(横着になれ)」と説いている。換言すれば、訳知りの老人になるな、社会の安全弁としての老人になるな、というメッセージである。赤川流老人力や渡辺流鈍感力では、屁のツッパリにもならない。日本社会は、従来型の自民党政治を見切りをつけて、新たの様相を呈し始めているかのようである。アメリカの民衆がオバマ氏を選択した様子をテレビで見ながら、つらつら考えたものである。

 

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