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2008年7月 7日 (月)

邪魔をするのは

31940581  肩も痛い、ひざも痛い。寄る年波には勝てない。言うまでもなく、高齢社会の病気の特徴は、加齢に伴う障害である。病気・障害と仲良くつきあって、生を全うしていく以外ない。これに邪魔をするのは、医者ということだけではなく、医療・介護保険制度を策定する行政や政治屋でもある。まともな医者は、医療行政の矛盾を抱きつつ、仕方なく従わざるを得ない状況にいる。金儲けの医者は、患者に向き合うのが恐くて、病気に向き合ってばかりいる(地元では飲み・食べ歩きしないのが、医師会の暗黙のルールである)。テレビを眺めていると、健康食品・器具や外資系医療保険の宣伝が多い。これもまた、医療・介護保険制度の崩壊に棹差すものである。この本の著者は、長年地域医療・介護の現場で活躍された人士なので、ここまであけすけに、もの申してもいいんかい、と心配してしまうほどだ。彼の地域医療のスローガンは、地域で生きて家で死ぬ、である(p52、224)。ところが現状は、健康願望を煽りつつ、社会保障費の削減を目論むものでしかない。2008年4月に義務づけられた特定検診・特定保健指導制度は、いわゆる「生活習慣病」(=成人病)対策としているが、これが医療関連事業の巨大市場となる。そもそも、生活習慣病は、低賃金、労働加重、生活のゆとりのなさに原因があるにも拘らず、すべてが金勘定なのである。自然体として生きて死ぬことを、フォローするどころか、許してくれない社会になっているのである。福祉のための消費税増税論議が始まっているが、導入時の嘘をまた繰り返すのか。生活習慣病対策と称して病気・障害の自己責任化を問う前に、国の施策そのものを問わなければならない。

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