« 「ちりとてちん」再考 | トップページ | 微妙な一日 »

2008年5月29日 (木)

『としょりの気持ち』

30891182 午前のひと時に読むことができた。しかし、内容的にかなり介護のヒントが散りばめられている。「共感ー受容」の方法、「繰り返しの技法」、地域社会との関わり、役割と作業=生きがいなど。この本は、痴呆性老人介護のエピソード集である。痴呆(呆け)は、今の行政・医学用語としては、認知症と呼ばれる。この点については、不明なので何とも言えない。ただ、痴呆は、近代・現代医療では「病気」と捉えられているが、介護の世界では病気として相対するのは誤りだと思う。つい三十年ほど前までは、呆けた老人に対して、「耄碌したぁ」と表現して、自然な感情で受け入れられていた時代があった。現代日本は高齢社会になっているが、実生活では、核家族化や世代間断絶意識などがあって、彼らと隔絶されていることが多い。だから、知らないだけなのである。そういう意味で、介護の必要にある人にとっては、お年寄りの気持ちを理解するには、とても役立つ本であると思う。「異邦人体験」のエピソードは、特に分かりやすかった。しかし省みれば、こうした気持ちを理解することは、ごく普通の老若男女の人間の世界でもあることでもある。お年寄りの気持ちを理解することで、あらためて人々の気持ちを理解するために、立ち止まってみたい。最後の編集後記は冗長で、蛇足の面を否めない。もっとエピソードをふんだんに収集した方が、本として面白かっただろう。これも参照せられたい。

|

« 「ちりとてちん」再考 | トップページ | 微妙な一日 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/527456/21258530

この記事へのトラックバック一覧です: 『としょりの気持ち』:

« 「ちりとてちん」再考 | トップページ | 微妙な一日 »