« 裸の王様 | トップページ | 『在日』 »

2008年3月20日 (木)

貧困ビジネス

32009710  貧困ビジネスの正体を明確に認識し始めたのは、一年程前のことである。この世界には、一日2ドル以下で生活する貧困層が50億人もいる。その一方で、オイルダラーを始めとする金余りの資金が、搾取先を求めて世界の金融市場を駆け巡っている。過剰資本は、今や貧困層をターゲットにしているのである。サブプライムローン問題を発端とするアメリカ経済の崩壊と世界経済の行き詰まりに対して、人々は漠然とした不信感と敵意を抱き始めつつある。この問題は、地球環境問題と同じぐらい、否、それ以上に切迫した危機であると同時に、民衆にとってはチャンスというべきかも知れない。この本は、帝国主義の頭目であるアメリカ社会に分け入って解剖する渾身のルポであり、「自由と民主主義の国」=アメリカという幻想を断ち切るものであり、評判と話題になっている。詳細な資料分析と徹底的な取材がなされていて説得力がある。著者のことは、友人から紹介されて読んだ『アメリカ弱者革命』以来、気には留めていたが、(5年、10年遅れの)日本社会の未来像を考える意味でも、タイムリーな本と言えよう。ハイエクやフリードマン(両者とも驚くことなかれ、ノーベル賞受賞者である。賞というものがいかに「しょうもない」か、ということをノーベル賞は端無くも示唆している)が構想した新自由主義、市場原理主義、グローバル市場経済、マネタリズム、コイズミ構造改革等々が、世界と日本の民衆を不幸のどん底に叩き込むものであることを、この新書は証明している。6000万のアメリカ人が一日7ドルで生活していることである。まさしく、アメリカという国は階級社会となっている。規制緩和・民営化・自己責任という掛け声・絶叫の中で、アメリカ国民が経済的に追い詰められている事態を前にして、著者はある結論を際立たせている。即ち、貧困ビジネスとは(国家による)戦争ビジネスである、と。この類いの本が次々と上梓されることに期待したい。

|

« 裸の王様 | トップページ | 『在日』 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/527456/11564329

この記事へのトラックバック一覧です: 貧困ビジネス:

« 裸の王様 | トップページ | 『在日』 »